大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(く)111号 決定

本件記録並びに前記詐欺被告事件記録を調査するに、豊田竹司は、同人に対する詐欺被告事件につき、昭和二十九年十一月二十日東京地方裁判所のなした保釈許可決定に基き、同年同月二十二日保証金五万円(その内三万円は弁護人小池金市及び被告人の妻の兄種市喜平の保証書)を納付して釈放されたものであるが、これより先右豊田は右被告事件について同年同月十八日東京地方裁判所において懲役三年に処する旨の判決言渡を受け、これに対し控訴の申立があり、昭和三十年四月二十一日東京高等裁判所において控訴棄却の判決の言渡がなされ、更に上告の申立があり、同年十月二十日最高裁判所において上告棄却の決定がなされて、ここに前記第一審判決は確定するに至つたに拘らず、その後検察官において右刑の執行をなすため豊田の所在を調査したところ、同人が届出の住居地に居住せず、逃亡していたので、検察官は東京地方裁判所に対し、保釈保証金没取請求をなし、同裁判所は昭和三十二年九月二十七日右請求を理由ありとし、豊田竹司に対する保釈保証金五万円全部を没取する旨の決定をなしたことは明らかである。

そして抗告人が前記被告事件係属当時の弁護人であつたことは記録上明白であるが、本件抗告申立当時、右被告事件は既に確定していたのであるから、抗告人の弁護権はもはや存在しなかつたこと勿論であり、又同人は豊田竹司から特に抗告申立について委任を受けた形跡もないし、他方、右豊田の保釈保証金五万円の内金三万円につき保証書を差入れた利害関係人であるとはいえ、保釈保証金没取決定を受けたものは右豊田に外ならないのであるから、抗告人自身は刑事訴訟法第三百五十二条の「被告人以外の者で決定を受けた者」には該当しないものと解すべく、同人には抗告申立権はないものというべきである。

(昭和三一年八月二二日最高裁判所第二小法廷決定判例集一〇巻八号一、二七二頁以下参照)。

よつて本件抗告は、その理由の内容について判断するまでもなく、不適法であるから、刑事訴訟法第四百二十六条第一項に従い、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(谷中 坂間 荒川)

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